第54回近畿児童養護施設研究協議会 奈良大会にて基調講演をさせていただきました!
こんにちは、田中れいかです。
2023年6月15日〜16日に開催された第54回近畿児童養護施設研究協議会 奈良大会にて、基調講演を務めさせていただきました。
大会のテーマは「現場の力」〜主体性と責任感を問う〜。
このテーマと言葉の選び方に、私自身とても共感しました。「事件が起きているのは現場なんだ!」そして「実践を見出すのも現場なんだ!」という奈良チームの強い想いが込められています。
その熱意に触れ、第三者である私も胸が熱くなり、目がうるうる。職員のみなさんが持つ誇りと責任感を、全身で感じた忘れられない2日間となりました。
何よりも、近畿地方の職員のみなさんが元気で、それが一番嬉しかったです。
そんな思い出深い2日間の研修会。今回は私の視点からの感想を、活動報告としてお届けします!
開催概要
まずは大会の目的を見てみましょう!
熱い気持ちが伝わって来るのがわかるはずです。
「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!」これは25年ほど前に大ヒットした刑事映画のセリフです。
2017年に発表された「新しい社会的養育ビジョン」以降、現場は動揺し、自分たち(児童養護施設)の存在価値に自信を失いかけながらも、私たちは日々、目の前の子ども達に向き合い続け、社会的養護のセーフティーネットの役割を最前線の現場で必死に担っています。
不登校や発達障害、愛着障害、リストカット、精神疾患、親対応など30年前には耳にしなかった単語や横文字も最近では当たり前のように飛び交っていて、状況は刻々と変化していることを一番理しているのは現場の職員です。
今回の近畿児童養護施設研究協議会奈良大会は、「現場の力」をテーマにしました。
知識や専門性は子育てに当然必要ですが、それ以上に大事なのは「主体性」と「責任感」です。本研究協議会では全体会の他5つのテーマで分科会を設け、様々な視点から「現場の力」について研究協議を深めたいと思います。目の前の子ども達だけでなく、家庭で居場所がなく寂しく悲しく感じている子ども達がたくさん居て、そんな子ども達の為に私たち現場が勇気を持って「主体性」と「責任感」を見直す大会にしました。
引用:開催概要より
https://kinyokyo.jp/wp-content/uploads/2023/04/69fa12ec3557e4ab3468915abfce7a04.pdf
続いて、分科会の紹介です!
私は第1分科会で助言者をさせていただきました。
- 第1分科会 “家庭的”の議論から養育のヒントを探る
- 第 2分科会 仲間とチームワーク
- 第 3 分科会 LSW 的視点
- 第4分科会 人材の確保と定着
- 第 5分科会 子どもと向き合うということ
このように、各地域の研修会では、この分科会のテーマ設定が現場から求められている重要な学びであることが多いです。そのため、その地域の課題や力を入れていることがわかってきます。
感想
私は、近畿地方の児童養護施設で働く職員の方々が本当に大好きです。なぜなら、みなさんには「職員」という肩書きがありながらも、それを感じさせない親しみやすさがあるからです。
この感覚をまだ完全に言葉にできないのですが、どの施設を訪れてもアットホームな雰囲気があり、いつ行っても温かく迎え入れてくれるのです。
不思議なことに、近畿地方に来るたびに感じるこの親近感は、関西弁がその距離感を縮めているのかもしれないと最近は思うようになりましたが、それだけではないような気がします。
とにかく、どの職員さんに会っても、その優しさや温かさに触れるたびに、不思議とほっとした気持ちになります。
研修会のなかで特に印象に残っているのは、控室でお会いした近畿児童養護施設協議会 会長の河村善一さんからいただいた言葉です。
「田中さんみたいな人が必要だよね」
前後の会話の詳細は忘れてしまいましたが、その言葉の意味を「自分の経験をこの分野で生かそうとしてくれてありがとう」というメッセージだと受け取りました。
本来であれば、外の世界で自立していくことが、社会的養護経験者として喜ばしい道かもしれません。私もそう思うことがあります。
それでも、河村さんの言葉からは、「経験を生かして社会的養護の分野に戻り、次世代を支えようとする人も必要だ」という意味だと私は理解しました。
この経験を通じて、私は改めて、社会的養護の世界に少しでも貢献できていることへの喜びを感じました。
近畿地方の温かい人々との出会いは、私にとって大きな励ましであり、これからも「誰かのために力になりたい」という思いを強くさせてくれる2日間になりました。
主要プロジェクトである進学応援プロジェクトを止まることなく続けていけるよう、歩んでいきたいと思います!
一般社団法人ゆめさぽ
代表理事 田中れいか